☆★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・・
★ おやすみ。(比率:1:1)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・・
出演
男(年配の旦那)
女(うら若い若妻)
--------------------------------------------------------------------
(Let's Act)
男:どうして君は僕と結婚したんだい?
女:その質問、それで何回目ですかね?
男:さぁ……
少なくとも、両手で数えて指が足りないくらいは問いかけた気がするね。
女:その度、まったく同じ答えを繰り返している気がするのは、
私の気のせいでしょうかね。
男:さぁ、どうだろう?今回ばかりは別の回答が出るかもしれない。
だから全く同じとは限らないよ。
女:……うふふ、
『貴方の方がどう頑張ってもくたばるのが早いでしょう?……
男:……ああ、そうかもしれないね。
女:……保険金たんまり掛けとけば何もしなくても
それなりに生活できる絶好のカモじゃない』
男:あはははは……。やっぱり君は面白いね、それを本人に言うかい?
さすがの僕でも傷つくんだけどな……
女:ならば、これに懲りて私を見限れば良いでしょう?
傷つくこともありませんよ?
男:ん、離婚?それもなぁ……
この歳でバツ1になっても良い事ないからなぁ……
女:……デメリットしかないから私をまだ妻に置いているんですか?
男:さぁね、どうだろう?そうだとしても、
お互いお互いの利益ゆえの行動だ。責めもできないんじゃないかな?
女:倫理的とか、道徳的とかいうことを考えたら最悪の夫婦関係ですけどね。
男:そんなの今更、じゃないのかい?
女:……はいはい、そうですね。もういいです、寝ます、おやすみなさい。
男:……じゃ、僕も寝ようかな。
女:……起きてます。
男:それなら僕も起きてよう。
女:……一体何がしたいんですか?
男:別に何も?
女:おちょくってるんですか?
男:愛する人間とただ行動を共にしたいだけだよ。
女:なっ……
男:……どうする?本当にねるかい?それならリクライニング下ろすけど?
女:だから寝ないと言っているでしょう?放っておいてください。
男:……駄目だ、少し顔が青い。横になるだけでも良いから休みなさい。
女:でも……
男:駄目だ。
女:……はい。
(間)
女:ねぇ。
男:……なんだい?
女:本当に私を置いてとっとと死んでくださいね。
男:嫌な事を飽きもせず言うね……そのセリフ、何回目だっけ。
女:『少なくとも、両手で数えて指が余らない程度には』。
男:……病は気、からだろう?たまたま軽い発作が出たくらいで病むんじゃない。
女:私はもともと病んでるんです。
男:上げ足取らない。
女:……ごめんなさい。
男:君を残して、死んだりはしないから。
女:……うん。
男:もちろん、君に越されるつもりはないけどね。
女:……うん。
男:さ、今はもう休んで。……おやすみ。
女:……おやすみなさい。
END
Back